医療法人を設立する際や、既存のクリニックの診療体制を拡充する際、「医療法人は複数の診療科目を持てるのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。
例えば、内科を中心に診療しているクリニックが皮膚科や小児科を追加したい場合や、医療法人として複数の診療科目を扱うクリニックを開設したい場合などです。
結論からいえば、医療法人が複数の診療科目を設けることは可能です。ただし、診療科目の標榜には一定のルールがあり、追加・変更の際には必要な手続きを確認することが重要です。
目次
医療法人は複数の診療科目を持てますか?
Q. 医療法人が運営するクリニックで、内科と皮膚科など複数の診療科目を標榜することはできますか?
A. はい、可能です。
医療法人が開設する診療所では、内科、外科、皮膚科、小児科など、複数の診療科目を標榜できます。
医療法上、医療法人が運営する診療所の診療科目を原則として一つに限定する規定はありません。
例えば、次のような組み合わせが考えられます。
- 内科と小児科
- 内科と皮膚科
- 整形外科とリハビリテーション科
- 耳鼻いんこう科とアレルギー科
ただし、診療科目を標榜できることと、実際に適切な医療を提供できることは別の問題です。医師の専門性、診療設備、診療体制などを踏まえた運営が求められます。
複数の診療科目を標榜できる法律上の根拠
診療科目の標榜については、医療法第6条の6および医療法施行令などに規定があります。
標榜できる診療科目には一定のルールがあり、基本となる診療科名のほか、法令で認められる範囲で身体の部位や患者の属性などを組み合わせた名称も使用できます。
一方、自由に診療科目の名称を作れるわけではありません。
また、医療法人が複数の診療所を開設し、それぞれ異なる診療科目を扱うことも可能です。ただし、診療所ごとに必要な開設許可や届出などの手続きを行う必要があります。
医療法人の診療科目に関するよくある誤解
「診療科目を増やすには医療法人を新しく設立しなければならない」と考える方もいますが、通常、その必要はありません。
既存の医療法人が運営する診療所でも、必要な手続きを経て診療科目を追加できます。
また、「診療科目を追加するには必ず専門医資格が必要」という理解も正確ではありません。
一般的な診療科目の標榜について、専門医資格が一律に必須とされているわけではありません。ただし、麻酔科など特別な取扱いがある診療科目には注意が必要です。
さらに、複数の診療科目を掲げていても、すべての診療科目について常時診療できるとは限りません。患者に誤解を与えないよう、診療日や担当医師を明確に案内することが大切です。
診療科目を追加・変更する際の実務上の注意点
診療科目を追加する場合、まず診療所を管轄する保健所に必要な手続きを確認しましょう。
医療法上、診療科目は診療所の開設許可申請や開設届に関係する事項です。医療法人が開設する診療所では、変更内容に応じて変更許可申請や変更届などの対応が必要になる場合があります。
また、保険医療機関として診療している場合は、地方厚生局への変更届についても確認が必要です。
特に注意したいのは、診療科目の追加に伴って診察室を増設したり、施設の構造を変更したりするケースです。
この場合、診療科目の変更だけでなく、施設に関する別の手続きが必要になることがあります。
医療法人の定款に関係する変更が生じる場合には、定款変更認可の要否も確認しなければなりません。
医療法人の診療科目追加で行政書士がサポートできる内容
医療法人の診療科目追加や変更では、行政書士が医療法に関する手続きを支援できます。
具体的には、保健所との事前相談、変更許可申請・変更届の書類作成、医療法人の定款変更に関する確認や申請支援などです。
診療科目の追加と同時に分院開設や施設改修を予定している場合は、必要な手続きを整理し、開設スケジュールに合わせて準備を進めることが重要です。
まとめ|医療法人は複数の診療科目を持てるが手続きに注意
医療法人は、複数の診療科目を持つことができます。診療科目の数について法律上の一律の上限はありませんが、厚生労働省の通知では、医師一人当たりの主たる診療科名を原則2つ以内とすることが望ましいとされています。
診療科目を追加する際には、標榜可能な名称であるか、必要な医療提供体制が整っているか、行政手続きが必要かを確認しましょう。
医療法人の設立や診療科目の追加・変更を検討している場合は、医療法人の手続きに詳しい行政書士に相談することで、手続き漏れを防ぎ、円滑な診療体制の整備につなげることができます。
